初夏のサロベツと礼文島を巡る旅 2011.6.25-26

その2(名寄駅〜豊富駅)


名寄駅を出ると、スピードがガクンと落ちる。これまで札幌から名寄まで使用していた車体傾斜制御装置が
ここから先は使用できないためである。最高時速130kmから95kmへ落ちるので、一気にのんびりムード。
車窓には水田が広がっている。名寄市はもち米の生産量が日本一だそうで、これももち米なのかなぁ・・・。
美深駅に到着。けっこうな人が降りた。町そのものは決して大きくないが、駅舎はレンガ造りでとても立派。
列車の発車に合わせて、駅舎のてっぺんにある鐘が鳴り響いた。列車の本数が多い駅では騒音かもしれないが、
美深駅のように列車の本数が限られている駅には、こういう鐘の音がとてもよく合うと思った。
美深を出ると、列車は森と天塩川に包まれる。集落らしきものはほとんど見当たらず、通過する駅もこの有様。
宗谷本線に乗るなら、天塩川が見えるD席(稚内に向かって進行方向左)がオススメで、右側はずっと崖になっている。
・・・が、夏は緑が濃く、その肝心の天塩川も見えそうで実はあまり見えないかも。
音威子府(おといねっぷ)駅に到着。北海道でいちばん小さな村(人口900人ほど)にある駅である。
駅舎はとても立派で駅長さんもいる。また駅そば(音威子府そば)がとても有名であるが、
特急に乗っていると一旦途中下車しなければ食べることができない、なかなか食べるのが難しいそばである。
昔はここから「天北線」という線路が別にあって、宗谷本線とは違うルートで稚内まで延びていた。
もう少し鉄道に早く目覚めていれば、ぜひ乗ってみたかった路線である。
音威子府を出ると、だいぶ手塩川の様子が見えるようになってくる。人影まばらで、山奥の風景だ。
川の流れはこの列車と同じで北へ向かって流れている。冬になると、一面が凍り、真っ白な川になる。
音威子府駅の次の停車駅、天塩中川駅までが上川地方。そこから先は日本最北の宗谷地方となる。
宗谷地方(幌延町)に入ると、これまでの山と川の景色から一変し、牧場の風景が広がり始める。
雄信内(おのっぷない)駅をゆっくり通過。木造の数少ない駅舎のひとつで、鉄道ファンには人気のある駅だ。
ただ、普通列車ですらこの駅で降りようとすると「本当にここで降りるんですか?」と聞かれるほど、
周囲には人家らしきものは見当たらず、とても寂しい佇まいを見せている。
幌延駅に到着。ここまで札幌から約4時間かかっている。多くの乗客は疲れ切って寝てしまっている。
ホームの向こう側にはルピナスの花が咲いていた。幌延町は北緯45度にある町である。だいぶ北まで来たなぁ。
幌延の次は、いよいよ下車する豊富である。ここから車窓は天塩川と並んで、宗谷本線のハイライトのひとつとなる。
どこまでも続く牧場と、気持ち良さそうに草を食む牛たち。そして何より向こうに見える利尻山の存在が大きい。
豊富が近付くにつれて、天気もどんどんよくなってきて、利尻山を撮る人たちで左に乗客が押し寄せた。
あの山がここから陸続きではなく、海を隔てた利尻島の山だというのだから、不思議な光景である。
豊富駅に到着。約4時間半の長旅。けど、車窓に夢中になっていると、意外とあっという間だった。
スーパー宗谷の次の停車駅は南稚内。ラストランへ向けて、エンジン音高らかに出発していった。

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