はじめての北陸旅行 2014.5.3-5.6


北陸新幹線の開業まであと1年を切り、東京から気軽に北陸に行けるようになるのも間もなく。
その一方で今の最速ルートである「ほくほく線」を経由するルートは、ほぼ消えると言ってもいい。
越後湯沢で「とき」から「はくたか」に乗り換えて北陸に行ってみたい。それを実現するなら今しかない!
ということで、GW後半の4連休を利用して、北陸3県(富山・石川・福井)を旅してきました。


北陸旅行2日目の朝。初日が早朝からの行動だったので、8時ぐらいまでは寝てるかなーと思っていたのですが、意外と早く5時に起床。
今日は朝からいい天気のようで、東側に面したエレベーターホールからは市街地の向こうに立山連峰の影も見えていました。
今回宿泊した「オークスカナルパークホテル」の由来となっているのが、富岩運河環水公園。
ホテルからは歩いて5分ほどの距離にあるとのことで、6時半ごろぶらぶらと散歩に出かけてみました。
まだ早朝ということもあり、公園はジョギングや犬の散歩をする人がちらほらいるぐらいで、とても静かでした。
運河の両側には芝生の広場があり、とても気持ちのいい風景が広がっていました。
この富岩運河環水公園にはスターバックスも立地しており、近所の人の憩いの場だけでなく、市民や観光客など多くの人に利用されているのが分かります。
普段、スタバには全く入らないのですが、なんか人いないし入ろうかなーと思ったら、8時からの営業でした。そりゃ、誰もいないわけだ。。。
こんな北海道みたいなポプラ並木もありました。誰も歩いてなくて気持ちいい〜。
運河に架かる橋から、市街地のビルが一望できます。ほんとに駅前しか見てないですが、富山の街はきれいだなーと思いました。
もう少し空気が澄んでいれば、その後ろにはくっきりと立山連峰の山並みも見えるようです。
部屋に戻って朝食(と言っても前日にコンビニで買いこんだパンとか)を食べ、8時半過ぎにチェックアウト。
整然と街路樹が並ぶ気持ちのいい駅北口の通りを歩いて、駅に向かいました。
電車の時間もろくに調べずに駅まで来ましたが、黒部⇔富山⇔高岡の区間は普通列車の本数も多く、すぐに黒部行きの普通列車がありました。
ボックスシートが並ぶ昔ながらの475系電車です。ここからは来た道を戻るように、新潟方面に向かって乗車します。
1ボックスに1人。皆、思い思いに時間を過ごし、絵に描いたようなローカル線の旅でした。
車窓の右手には、雪を被った立山連峰の山並みが見え、その圧倒的な険しさと美しさに思わず見入ってしまいました。
富山から約25分で魚津駅に到着しました。富山地方鉄道と接続している駅であり、次が終点の黒部駅のため、8割以上の人が降りてしまいました。
JRなら富山駅から普通列車でも25分、特急「はくたか」なら15分で到着する魚津ですが、
並走する富山地方鉄道だと、電鉄富山駅から新魚津駅まで55分も掛かります。
運賃もJRの方が安いので、並走する区間では苦戦しているようです。
今回の旅に使用している「北陸フリー乗車券」は、黒部駅までがフリーエリアなので、その区間を使い倒すべく、黒部まで乗りました。
車窓には引き続き美しい山並みが広がります。富山駅からずっと眺めていると、だいぶ山が近くなってきたなーという印象です。
黒部駅の跨線橋から見た立山連峰。
ここまで迫ると、現実の風景じゃないみたいな錯覚を感じてしまう山の高さです。
JR黒部駅に到着しました。有人駅ですが、隣の魚津駅に比べるとこじんまりとした雰囲気です。
魚津駅ではすぐ隣に富山地方鉄道の新魚津駅がありましたが、黒部駅と電鉄黒部駅は1kmほど離れているのでここから徒歩です。
同じことを考えている人が他に4人ほどいました(笑)。お互い等間隔に間を開けて、商店街を歩きました。
ぶらぶら歩いて15分ぐらいで電鉄黒部駅に到着しました。瓦屋根の立派な駅舎です。
宇奈月温泉までのきっぷを購入し、ホームに入りました。
地方都市でJR以外、しかも地下鉄や路面電車ではない路線に乗るのはめったになく、とても新鮮な気分でした。
程なくして宇奈月温泉ゆきが到着しました。レトロな車体は昔を知らずとも懐かしく、真っ赤な転換クロスシートが並ぶ車内は気分がわくわくしました。
JR・富山地方鉄道ともに、1時間に2本ぐらいの運行本数があるので、そこまで念入りに計画しなくても、わりとその時の気分で動けます。
よく出かける北海道や東北の列車は、1本逃すとアウトという区間も多いので、それと比べると富山はかなり公共交通機関が充実しているのを感じます。
一駅だけ、ホームがあるのに通過した駅がありました。北陸新幹線、黒部宇奈月温泉駅と接続する新黒部駅です。
新幹線の開業に合わせて新しく作られている駅で、ここが完成すると、東京⇔黒部・宇奈月温泉の時間は一気に短縮されそうです。
電鉄黒部駅から宇奈月温泉駅までには途中12の駅があり、多くの駅が木造で味わいのある駅舎の姿を留めています。
駅と駅との間隔は非常に短く、次の駅までは1〜2分ほどで着いてしまいます。
車窓は、平野の風景から次第に里山の風景へ移り変わります。タンポポモドキの花が土手を埋め尽くしていました。
最後の音沢→宇奈月温泉の区間だけは5分以上掛かる長距離区間となり、一気に山深い景色となりました。
電鉄黒部駅から終点の宇奈月温泉までは所要時間30分ほど。楽しい地方ローカル線の旅でした。
宇奈月温泉は富山県を代表する温泉観光地です。鉄道を使って訪れる人はもちろん、車で訪れる人も多く、
GWということもあってか、とても賑わいを見せていました。駅前から見上げる山の高さと近さが圧巻で、高い場所にはまだ雪も残っていました。
温泉が噴水となっている宇奈月温泉駅。噴水のお湯は暖かく、さすが温泉だけあって肌がしっとりしました。
かなり高い場所まで来たと思っていましたが、駅の標高は約224mだそうで、そこまで高くありませんでした。
乗車してきたレトロな電車(左)と、明らかに東急な電車(右)。
宇奈月温泉から終点の電鉄富山駅まで向かう列車には古い車両が充当され、
利用客が多い魚津(西魚津)止まりの電車にはロングシートの東急の車両が使われているようです。
朝の温泉街をぶらぶら。駅前はとても人が多かったのですが、多くは黒部渓谷鉄道のトロッコ列車に乗るためのようで、
温泉街の方はほとんど人が歩いていませんでした。「いっぷく処」という観光案内所があったので、
そこへ行って日帰り入浴可能な施設(あわよくばクーポン類も・・・)を探しに行きました。
「日帰り入浴で露天風呂が広くて眺めのいいところってありますか?」と観光案内所の方に伺うと、
「今日、日帰りの営業をしているお宿ですと、ニューオータニさんはけっこう大きいですよー。
あと、自転車を使われるのであれば、とちの湯が一番眺めいいです。自転車、いかがですか?」と言われ、
「う〜ん・・・汗かくのはイヤなんだよなーとか、久しぶりの自転車だから乗れなかったらどうしよう・・・(汗)」とか
体力と運動神経、そして根性なしの人間ならではのことを頭の中で考えつつ、迷いました。
けど、写真を比較すると、圧倒的に「とちの湯」の方が上。せっかくだし、思い切って自転車を借りることにしました。
自転車は2時間500円だったので、普通のママチャリかと思いきや、なんと豪華な電動自転車。これならとりあえず体力面は安心です(笑)。
サドルの一番低〜〜い、恐らく女性や子供向けの自転車を選ばせてもらい、観光案内所を出発。
「とちの湯」へは、黒部川を渡り、温泉街の対岸の道を進んでいかなくてはなりません。先に見えるのは圧倒的な山々。
この黒部川を眺めているだけでも、なかなか爽快な気分になりました。
長いトンネルを通って、温泉街の対岸までやってきました。先ほど渡った橋が、写真の右側に見えている橋です。
黒部川沿いは新緑がまぶしく輝く一方、背後の山にはまだまだ残雪があり、いかに山が高いかをうかがい知ることができます。
さらにトンネルをくぐり抜けると、渓谷が見渡せる高い場所までやってきました。
カメラを構えている人がいるなーと思って、5分ぐらい待っていると、高らかな汽笛が空に響き、長い長い列車が黒部川を渡っていきました。
宇奈月温泉を訪れる人の多くが乗車する、黒部渓谷鉄道の車両でした。赤い鉄橋が緑に映えますね。
あんなに下を走っていたのに、黒部渓谷鉄道の勾配はきつく、あっという間に自分の目の前まで上ってきました。
最初は何気なく手を振ったのですが、この列車は全部で10両編成。
みんな手を振り返してくれるので、一番最後の車両が通り過ぎるまで手を振り続けるしかありませんでした(笑)。
さらにトンネルを抜けると、パッと景色が開けました。温泉街と黒部川の景色から、宇奈月ダムの景色へと変わりました。
渓谷は一層深くなり、ここを自転車で走っているのが不思議な感覚に陥りました。
ダムの左側には渓谷沿いに線路が延びており、先ほど手を振ってくれた人たちが乗った車両も見えました。
宇奈月ダムの水の色は見事なほどのエメラルドグリーン。光に反射してとてもきれいでした。
黒部川として流れてしまえば透明の水なのに、こうして貯まっている間はこんなに濃い色なのだから、水の色って不思議なものですね。
新緑と残雪を楽しみながら先へ先へ進んでいきます。
電動自転車だと坂道も全く力がいらないので、多少のアップダウンも楽々でした。
日陰の部分には雪もありました。
周囲が新緑の季節になってもなお、こんなに雪が残っているということは冬の積雪量はものすごいことが想像できます。
ところどころ立ち止まって写真を撮りながら、自転車を漕ぎ進めること30分。道は行き止まりとなりました。
黒部渓谷鉄道の線路は、宇奈月ダム沿いにまだまだこの先延びていますが、車や自転車で行けるのはここまで。
日本で最も深い渓谷である黒部渓谷。ここはそのほんの序章に過ぎないのですが、この壮大なスケールにはただただ圧倒されるばかりでした。
行き止まりの道の先にあるのが、「とちの湯」です。
2002年に完成した施設とのことで、まだとても新しく清潔感がありました。入浴料500円を払って、中へと入りました。
露天風呂からも、湯上り処からも、何も視界を遮るものなく、この絶景を眺めることができました。
観光案内所の人が一番オススメというだけあって、頑張って自転車(電動だけど。。。)を漕いで来た甲斐がありました!
このとちの湯、営業期間が4月下旬〜12月上旬とのことで、まだ今年の営業を始めたばかりのようです。それだけ春の雪解けは遅いんだなー。
雪解け水が流れ落ちる滝も見えました。
すぐ近くに残雪が見え、淡い新緑とのコントラストがとてもきれいでした。
緑の匂い、水の音、鳥の声・・・、写真だけでは伝わらない、山の息吹を感じ取ることができました。
帰りは20分で一直線に温泉街へ帰りました。時間は12時半ぐらいで、結構お腹が空いてきたので、
温泉街の食堂「有磯きときと庵」さんで、白えび天丼(810円)を食べました。
お店は大繁盛で、一人旅の自分はもちろん相席となりましたが、サクサクに揚がった白えびはとても美味しかったです。
帰りは13時10分発の電鉄富山ゆき、普通列車に乗って、富山市内へと戻ります。
車内は赤いシートが整然と並び、窓も非常に大きくとられています。
自由に背もたれの向きを変えられる転換クロスシートのため、2人ならこのまま、4人ならボックス風にして座ることもでき、
レトロな車内でありながら、とても機能的で、景色をゆっくり眺めたいローカル線の旅には最高の車両です。
帰りも富山地方鉄道の車窓からは立山連峰の美しい姿を見ることができました。
富山県の家は、黒い瓦屋根の家がとても多く、その落ち着いた家並みと背後にそびえる山並みがとてもよくマッチしているなと思いました。
反対側を見れば日本海もすぐ見えるのに、こんなにも高い山がすぐそばまで迫ってくる場所ってなかなか無いですね。
14時49分、終点の電鉄富山駅に到着。途中、デジカメの撮影可能コマ数がいっぱいになるというハプニングが発生し、
今後の写真を撮るにはカードをフォーマットしないといけなくなったため、途中駅の新庄田中でいったん下車し、
家電通販ではおなじみのJOSHIN(ジョーシン)の本店で、カードリーダーを購入。金沢のホテルまで、撮影を最小限に抑えることになりました。
電鉄富山駅からJR富山駅へは連絡通路を歩いて向かいます。
北口側は再開発もほぼ終わっていて、とても洗練された雰囲気でしたが、富山駅のメインである南口側はまだまだ工事真っ最中という感じでした。
ここも来年の今頃には、駅前の広場も完成していて、北陸新幹線が開通していて、一方の在来線(北陸本線)はJRではなく第3セクターとなって・・・
と、いろんなことが変わっているんだなーと思うと、この風景もとても貴重なものに感じました。
富山からは金沢行きの普通列車に乗り込みました。
これまで乗車していた見慣れた従来型車両(右)と違い、金沢行きは521系という新型車両でした。
この色とか「普通」の書体とかが、いかにもJR西日本っぽい感じです。車内は転換クロスシートでとても快適ですが、
2両しかない車両は、すぐに満席となり、立ち客も出るほどの混雑ぶりになりました。
従来の車両が3両〜6両に対し、新型車両は2〜4両となっているようで、新型車両の方がやはり混んでます。
地方でも人をできるだけ詰め込もうという方針は、JR東日本とあまり変わらないなーと感じました。

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