3日目
(6月26日)

日本で一番東の人間になる


◎行程

朝は5時に起きるはずだったが、二度寝をしてしまい、起きたのは始発列車ギリギリの5:45だった。
起きてすぐさまチェックアウト。こんなに朝が早い客もなかなかいないんじゃないかなーと思った(^^;;;
ホテルを出ると、まず「さむ〜〜い!!」気温はこの時期なのになんと12℃しかないのだ。
とりあえずダッシュで釧路駅に向かった。走っていると、吐く息が白い。いかにここが寒いかだ。
そしてなんとか根室行きの快速列車に乗車。つくづく、あれ以上寝坊しなくて良かったと思った。
またまた長椅子になってしまったが、写真を撮るには、こっちの方が動きやすくて逆にいい。

 

快速「はなさき」
根室行きの始発列車。快速だが1両しかない。
釧路から根室までは意外と遠く、135km、2時間かかる。

乗りこんですぐに列車は発車した。車内は平日の列車ということもあって、僕の他は、
ほとんどがお年寄りの夫婦だった。そういえば、今日からは大学の講義があるんだなぁ...と思い、
ふと自分がこうして旅をしていることがバカらしくも感じた。今日はそういえばレポート提出の日。
僕は先週のうちにレポートを終わらせて友人に頼んでいたので、友人に確認のメールを送った。
すると「まかしとけ!」という非常に心強いメッセージが返って来た。やっぱり友人の存在はありがたいものだ。
メールを送ってすぐ、携帯電話は圏外になり、一気に大自然の中へと入っていった。
厚岸までは、わりと単調な風景が続いたが、厚岸を出ると車窓に大きな厚岸湖が広がり、
その厚岸湖に流れ込む川の周辺は、雄大な湿原の風景が広がっていた。
僕は列車の中でついつい写真を撮るために歩き回ってしまった。写真なんか撮ってないで、
まずは自分の目で楽しめばいいのに、写真を撮ることばっかり考えていた(笑)
列車はしばらく湿原の風景の中をひた走った。途中、高校生が徐々に増えてきて、
ずっと貸しきり状態だったロングシートも、高校生で埋まってしまった。根室の高校に通うのだろう。
列車の中は次第に混んでは来たが、誰も立ってる人はいない。列車は次第に海沿いに向かい、
車窓から落石岬という岬が見えた。落石岬をすぎると、車窓は牧場の風景に変わる。
そうなってくると、まもなく終点、根室だ。日本最東端の駅、「東根室」の通過は見過ごしてしまった。
そしていよいよ「根室」に到着した。駅舎や駅前は「市」とは到底考えにくいほど、寂れきっていた。
でもその寂れた風景がまた、自分が日本の果てにいることを実感させてくれるのだった。
   

厚岸湖
厚岸駅を出るとすぐに見えてくる厚岸湖。
湖面に輝く太陽の光が美しかった。

別寒辺牛川
厚岸湖に流れ込む最大の川
周囲は大きな湿地帯になっている。

   

大自然の根室本線
車窓からは雄大な湿地帯の風景が見える。
このあたりでは、カメラを向ける人も多かった。

落石岬
ここで列車は一旦海に出る。
日本の果てまで来た気がした。

   

牧場の風景
海を過ぎると、今度は牧場の風景。
牛の姿も見える(拡大すると分かります!)

ロールバーム
北海道の風景といえば、このロールバーム。
もっといっぱいに広がる所を撮りたかった!

根室駅
終点根室に到着!かなり寂れた駅だ。
この駅には1日たった7本しか列車がやってこない。

根室駅からはさらに東の果てを目指し、バスで納沙布岬へと向かうことにする。
駅前にはお土産屋と観光案内所、バスターミナルを兼ねた新しくて大きな建物があった。
ちょうど高校の通学時間帯なのだろう、たくさんの高校生がその建物の中にいて、バスを待っていた。
他に目立つ人達と言えば、やっぱり納沙布岬を目指す老夫婦たち。若者はまったくいない...(^^;;;
納沙布岬まではバスで約40分、往復で1890円と結構な出費になってしまったが、
ここまで来たんだから、行かないのでは始まらない!!思いきって乗車券を購入した。
バス乗り場にバスが来て、一斉に老夫婦達が乗りこむ。みんなやっぱり前の方の座席に座る(笑)
僕は悠々と最後に乗りこんで、ガラガラの後ろの方の座席に座ることにした。
最後に女子高生が駆け込んできて、バスは発車。駅前を抜けて根室の街に入っていった。
根室の街はとても小さく、駅から徒歩圏内にほとんどのものがあると言う感じ。「SATY」もあった。
バスは市街地を抜け、海が次第に見えてくるようになった。高校が近づいてきて女子高生が降りた。
あとはみんな納沙布岬に向かう人だけになったらしく、人の乗り降りがまったくなくなってしまった。
次第に建物には「日本最東端の〜」という看板が目立つようになってきた。
小学校や郵便局、ここらではあらゆるところが日本最東端の建物になってるらしい。
車窓は右手に海、左手には広々とした原野が広がる、まさに北海道の果てまで来た風景が続く。
そして駅を出発して40分、ついに納沙布岬に到着した。そこはまさに日本の果ての果て。
自分がこの日本中の1億2000万人の中で一番東にいる人間になった瞬間だった。

 

納沙布岬
ここが本当に日本で最東端の地だ。
写真の向こうに見える岬が本来の納沙布岬になる。

平和の塔
納沙布岬から望む平和の塔
すぐ側には北方領土が見えた。

納沙布岬に到着した僕はとりあえず写真を撮ることにした。
一人で岬の写真を撮っていると、バスで一緒だった一組の老夫婦が、
なにやらインスタントカメラの使い方について、迷っているようだった。
「どうしましたか??」と僕が尋ねる前に、老夫婦が「あ、若い人なら分かるわよ」と言って
話し掛けてきてくれた。こういう偶然なところから人と出会えるのが、一人旅の面白いところなんだよね(^-^)
僕はもちろん「若い人」なので(笑)、インスタントカメラの使い方ならお手の物だ。
ついでに僕は夫婦の写真も撮ってあげて、逆に自分の写真も撮っていただいた。
その老夫婦は僕のデジタルカメラをえらく珍しがっていて、
「ねぇ、今度はこれを買いましょうよ!」なんて言っていた。なんか嬉しい(^_^)
納沙布岬の周辺にはいくつかの土産物屋が並んでいて、そこのある一件の店の
お兄さんに「よっ、にーちゃん、一人旅かい?」なんて声を掛けられて、
少し店に入って話して行く事にした。ここでタラバガニの見分け方や、この辺のことについて
いろいろと教えてもらった。まぁ、とにかくこの辺の人はみんな気さく!!いろいろ話し込んでしまった。
しかし時間が来てしまい、僕はバス乗り場に戻ることになった。最後にその店でカニの鉄砲汁を買って
バスに乗り込んだ。バスにはさっきカメラの使い方について教えた、老夫婦がいた。
彼らはまったく行き当たりばったりに旅を進めているらしく、これからどこにいくのかもあまり
ハッキリとは決まっていないらしい。まぁ、時間はたっぷりあるんだろうからいいよなー。
座席に座った僕はさっき購入したカニの鉄砲汁を頂くことにした。バスに揺られて、
けっこうこぼれてしまったが、カニのだしが効いててけっこう美味しかった。
カニがたくさん入っていたので、根室駅につくまで、ほとんどの時間をカニとの格闘に使ってしまった(笑)
根室駅ではすこしだけ時間があったので、市内散策をしようと思ったが、何もなかったので、
駅の待合室で、ずっと老夫婦と話したりしていた。老夫婦は野付の方に行くことに決まったらしい。
そしてようやく改札の時間になった。乗りこんだのは運の良いことに再び快速列車。
列車に乗り込んだ僕は、発車してすぐに眠りに落ちてしまった。そして途中の厚床で老夫婦と別れ、
再び釧路に戻ってきた。釧路からは特急「スーパーおおぞら」がちょうど連絡していたので、
それに乗って札幌まで戻ることにした。釧路駅では駅弁を買ってしまった。旅といえば駅弁が
付き物なのだが、駅弁とはどうしてこんなに高いのだろうか。カニ飯を買ったが少ない上に1000円もした。
そろそろ財布のほうが寂しくなってきたので、ここらからはあまり食事にお金を使えないなー...
 

カニの鉄砲汁
納沙布岬で購入したカニの鉄砲汁です。
ダシが効いてて、カニもいっぱい!!

特急「スーパーおおぞら」
札幌行きの特急。最高速度は130km/h
札幌までは3時間半ほどで着いてしまう。

かにめし
釧路駅でおなかが減って買ってしまった。
かなりご飯が薄い...(-_-;)

特急「スーパーおおぞら」は13:21、定刻通りに釧路駅を発車した。
気動車(ディーゼルエンジン)のため、発車と同時に、「ゴゴゴゴーッ」と大きなエンジン音が鳴り響く。
ぐんぐんスピードが上がって行き、となりを走る車はどんどん追いぬかされていた。
乗り心地は普通の電車特急と変わりなく、またここのところの旅の疲れもあってか
僕はこのまま眠りに落ちてしまった。気付くと、そこはすでに帯広。雄大な十勝平野の真ん中に
高層ビルがたくさん立ち並んでいて、大きな街なんだなーと思った。
チョコレートで有名な六花亭の本店が帯広にあるので、降りようか迷ったが、またしばらく列車を
待つのがちょっと面倒くさいし、せっかくこんな速い特急に乗れたんだから札幌まで乗ろう!
ということで、帯広での下車はとりあえずまた次の機会にということにした。
帯広駅は高架になっていて近代的な駅の構造になっていた。ここで多くの人が乗り込んできたが、
僕の隣りには誰も座らなくて一安心。ここから先はあまり人は乗ってこないだろうからね。
帯広を出ると、次は新得、トマムと停車。石勝線は、トンネルだらけだったが、緑がいっぱいだった。
こんな山奥によくこんな線路を作り上げたもんだなーと感心してしまった。
そして列車は南千歳に停車。ここからは千歳線に合流し、都会の風景の中を札幌向けて走る。
高層ビルが林立した街が見えてくると、そこはもう終点札幌。釧路から約350km、3時間半の旅だった。
 

帯広駅
多くの人がここ帯広で乗り降りして行った。
ここからは「とかち」も走り特急は2倍の本数になる。

帯広の街
高層ビルが立ち並ぶ、大都市帯広。
沿線では釧路に次ぐ人口を持っている。

トマム駅
珍しいカタカナの駅名だ。
この駅にはなんと特急しかとまらない。

札幌に到着した僕が次に向かうのは、運河の街「小樽」。
小樽運河は、去年大学の友達と行ったときに、ガッカリして帰ってきて、
もう絶対に行くまいと思っていたが、なんだか観光ガイドブックに出ている夜景が
ヤケにそそるので、行ってみる事にした。札幌〜小樽は電車の数もかなり多く、
ホームで待っていれば電車が来るという感覚だ。しかも所要時間は30分あまり。
あっと言う間に、小樽駅に到着した。小樽ではまず閉店間際の「三角市場」に行ってみた。
この三角市場、非常に狭い三角形の土地に、店がギッシリと並んでいる、言わば小樽の台所。
でもさすがにこの時間はほとんどの店が閉店の準備をしていた。たまに「おにーちゃん!」と
声を掛けられるが、その声にも朝ほどは威勢を感じない。
もちろん買う気もないので、余裕でスルー。僕はそのままさっそく運河の方に向かった。
そして10分ほどで「小樽運河」到着。駅周辺は地元民ばかりだったが、やはりここだけは
観光客の姿が目立っていた。みんな記念撮影をしていた。僕も運河の写真を撮ってしまった。
しばらく日が落ちそうにないので、食事をとることにした。向かった先は、運河沿いのレストラン街。
レストラン街には、魚介類をふんだんに使った店がたくさん並んでいた。
でもメニューを見たら、だいぶ高そうだったので、レストラン街の一番隅っこにあった、
ファミレス「びっくりドンキー」に入ってみようと思った。
でもいざ入ってみると、なんとなく「せっかく小樽まで来たのにハンバーグかよ...」
という気持ちになってきてしまった。というわけで、大奮発して、
隣りの地ビール館みたいな店に入った。店はもちろんビールが一押しなんだろう。
だけど僕はビールは大嫌いだったので、店のメニューで一番輝いていた(と思われる)
「シーフードパエリア」をオーダーすることにした。食事が来るまでの間がなんとも変な感覚だった(^^;;;
だってこんなところに一人で入るの初めてだし、まわりがみんな飲んでるんだもんっ!
僕は明らかに場違いだと感じながらも、時刻表で時間を潰していた(笑)そしてやっとパエリア到着!
パエリアはエビもイカもアサリも入っていて、味付けもちょうど良くて、けっこう美味しかった(^^)v
これで880円。ま、良いほうか。会計を済ませて外に出ると、やっと暗くなっていた。
僕はもちろんお目当ての小樽運河へ。運河は今度こそ、しっかりライトアップされていた。
これはカップルがお似合いだな・・・と内心思ったが、せっかく来たのだからと思い、
イチャイチャしているカップルを尻目に、一人写真撮影に没頭してしまった(笑)
小樽運河はとても穏やかに、ポツンポツンと付いた灯りを水面に映し出すのであった。
 

JR小樽駅
重厚な造りの小樽駅
駅前はけっこう雑然としている。

運河沿いのレストラン街
ライトアップされて、雰囲気が良い感じ!
海産物を売りにしたレストランが並んでいる

ビアレストラン
僕が入ったレストラン
一人で入るような雰囲気じゃない・・・(笑)

小樽運河
夕闇に灯りが灯り始めた小樽運河
灯りが水面に反射していて、幻想的な景色だ。

小樽運河
今度は運河沿いをゆっくり歩いてみた。
やっぱりカップルの姿がほとんどだが写真を撮る人もいた。

小樽運河の夜景を堪能した僕は、小樽を後にする事にした。
さっそく小樽駅に向かう。さて、問題はこれからどうするかだ。今日は宿をとっていない。
よく考えたら、まだなーんもお土産を買っていなかった。実は今回、大学の友達から前もって
「これでカニ買ってきて」と3000円を頂いてしまっているのだ(それって「お土産」って言うか?^^;)
だけどこれからのスケジュールの中で安いカニを買えるようなところに行く予定がこれと言ってなかった。
と!いうわけで、僕は急に函館行きを決意した。函館の朝市に行けば何かは買えるだろうと思ってね。
さっそく小樽駅の「みどりの窓口」で夜行列車「ミッドナイト」の指定席をとることにした。指定は余裕でとれた。
夏休みは青春18切符でも乗れるということで、1ヶ月前ですらなかなか取れない指定席が、
なんと発車3時間前でも余裕で取れてしまったのだ。しかも北海道の指定席はたった300円。これもありがたい。
というわけで、さっそくミッドナイトに乗るべく僕は札幌に向けて引き返すことにした。
途中、小樽築港で下車して、小樽名物「マイカル小樽」を見に行ったが、閉店間際で何も面白いものはなかった。
再び電車に乗りこむと、僕は札幌まで寝てしまっていた。かなり疲れて来たらしい。
そして札幌に到着!といってもまだ「ミッドナイト」までは2時間ほど時間がある。うーん、何しよう(^_^;)
僕の中では、札幌と言えば「大通公園」のイメージが強く、また大通公園に向かうことにした。
これが割と駅から遠い・・・さすがに夜も10時近くなると、大通公園に集まる人も日中とはだいぶ違っていた。
二大勢力は「カップル」と「スケボー少年」。スケボーがけっこううるさくてあまり落ちつかなかった。
財布を見たらお金が相当減っていたので、僕は郵便局に行くことにした。すでに時間は22時を回っているが
札幌の中央郵便局だけは23時まで営業しているので、なんとか間に合った(^_^;) そしてそのまま札幌駅へ。
まだ1時間ある…どうしよう。とりあえず小腹が減ったので駅前のコンビニで、サンドイッチとジュースを購入。
ホームに行って列車が来るのを待つことにした。札幌駅のホームはさすがにひっそりとしていた。
ここがやっぱり東京とは違うところらしい。23:00になって、稚内行きの特急「利尻」と釧路行きの特急「おおぞら」が
同時に札幌駅を旅立って行った。これで今日の特急列車は全て終了。さらに人の数は減った。
そして10分ぐらいしてようやく「ミッドナイト」がホームに入線。やはり閑散期ということで3両しかない。全席指定だ。
このミッドナイト、普通の座席の他に、「カーペットカー」と言って、床にカーペットが敷かれてあり、ちゃんと毛布も
用意されている車両が連結されている。快速列車にしてはまったく素晴らしい機能を持った列車なのだ。
が、僕はやっぱり普通の座席の方だった。「カーペットカー」の方は指定、取れなかったのかな。ま、いいや。
切符を見て自分の指定された席に行く。やった!海側だっ!ま、寝てるだろうけど。。。
席に付いた僕は、さっそく寝る準備をした。コンタクトレンズを外し、歯磨きをして、貴重品はリュックの奥の方へ。
いろいろやってるうちに列車は発車の時刻を迎えた。23:30、ディーゼルの音を力強く響かせながら、
いざ函館へ向けて出発。15分ほどで新札幌に到着し、次はもう終点函館。ここからは300kmほどの道のりを
ノンストップで函館まで走り抜ける。函館到着は明朝6:30。まだまだ寝れる。コンタクトを外して、
景色が何も見えなくなった僕は、ここで寝ることにした。車内の照明は落ち、みんなも寝始めた。
僕も何時の間にか、眠りに落ちてた。


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